個体老化やがんを含めた加齢性疾病発症・進展には、DNA損傷などで誘導されるストレス応答の一つである細胞老化によって生じる不可逆的な細胞増殖停止・生理活性因子の分泌等の特徴を示す細胞、いわゆる『老化細胞』の蓄積が重要であることが明らかになりつつあります(図1)。一方、私たちの最新の研究では、生体内に存在する様々な細胞種が老化細胞になること、それによる機能変容は細胞種ごとによって大きく異なることが分かってきました。つまり、老化細胞の蓄積による加齢性疾病発症・進展を制御する上で、老化細胞の織りなす多様性を分子レベルで理解することが最重要であると考えられます。そこで本研究分野においては、分子生物学・細胞生物学・マウス遺伝学・情報生物学といった様々なアプローチを組みわせることで、生体内の老化細胞の誘導・維持・機能変容の分子メカニズムを解明し、老化細胞の選択的な除去・エピゲノム変換による細胞若返りなどといった革新的な老化細胞制御法の開発を目指します。